人は死ねない

――超長寿時代に向けた20の視点

奥真也 著
四六判並製 276頁
定価:1,980円(本体1,800円)
978-4-7949-7305-4 C0030〔2022年6月〕


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あなたは何歳まで生きると思いますか?
医療未来学が描く「老い」と「死の未来」

人類の寿命が延びると、私たちの暮らしにどんな変化が起きるのか。最先端のヘルステックを知り尽くした著者が、医療の未来予想図とそこに生じる問題点を提示しながら、人生100年時代の死とは何かを考える。

寿命が延びて、死ななくなるというのは、大問題だ。
納得のいく死に方を考えるよりも、定年退職後、
30年、40年を一体どのように生きればよいのか。
生き方の根本を大改革しなければならない。
――田原総一朗

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【目次】

第1章:あらゆる病気は克服されていく――人生120年が現実味を帯びる現代

・病気の克服が「生のあり方」を変え、「死のあり方」を変える
・人類が感染症の脅威から解放される日
・20世紀の半ばから、たたかう相手はがん
・心疾患・脳疾患に
・がんや神経難病も未来には克服される
・人工臓器も実現しつつある
・現代人の体力向上、救急医療体制の充実も「死なない」要因に
・遺伝子解析技術とセンシングで、予防医学がますます進歩する
・AI診断によって「誤診」が激減する
・人生100年、120年が現実味を帯びてきた

未来のストーリー:100歳まで生きることなど珍しくも何ともない

第2章:健康とお金の関係はこう変わる―─経済力が「長生きの質」を決める

・「多病息災」で、今以上に医療費がかかる
・老化を治療できても医療費はかかる
・医療費が「全額自己負担」になる可能性も
・経済力が「長生きの質」を決める?
・人間拡張技術によって老化がハンディでなくなる
・「死」は「幸せな区切り」になりうる

未来のストーリー:経済力の有無で長生きの質に格差が生まれる

第3章:ゆらぐ死生観─―自分なりの「死のあり方」を持つ

・シナリオどおりに生きられると「生のあり方」が変わる
・「典型的な死のプロセス」も変わっていく
・現代医療は患者さん個人の背景まで考慮できない
・安楽死について
・医師は医師として生きている
・同調圧力、自己決定、自己決定権
・新しい「死のあり方」に制度が追いついていない
・死生観を持つのは誰なのか
・自分なりの「死のあり方」を持ち、納得する死を迎える

未来のストーリー:100歳を超えた私の「お迎え」はいつくる?

第4章:誰が死のオーナーか─―死を取り巻く問題を考える

・「生」に自己決定権はなかったが「死の自己決定権」はある
・「脳死」の定義はあるのに「死」の定義はない日本の法律
・延命治療は「一度始めたらやめられない」は本当か
・「人間医師」はどこまで責任を負わされるのか
・医療に関する「意思表示」が不可欠な時代に
・未来には「積極的な死」が増えてくる?
・すでに安楽死が法制化されている国や地域も
・「死なない時代」に、安楽死は「一切れのパン」となる
・死体は誰のもの? 臓器提供をめぐる問題
・高齢者に歴史あり

未来のストーリー:安楽死が法制化された未来

第5章:未来の死を考えるための20の視点

視点1 肉体がなければ、衰えることもない
視点2 永遠の生:悪魔との取引
視点3 医師を呼ばない息子の妻への怒り
視点4 生涯独身の私は、独りで死んでいくのか
視点5 人生をともにするパートナーと同じ気持ちを共有しているか?
視点6 死の定義をあなたが決める立場ならどうする?
視点7 臓器提供が「推定同意」になる前夜の夫婦の会話
視点8 有限な貯金の使い道:高度な治療を取るか家族の団らんを取るか?
視点9 死の間際までハイテクを使えるなら、何を使う?
視点10 どんな医療制度を望むか
視点11 子どもが脳死になったらどうするか
視点12 早期定年の企業に息子が就職しようとしてら、親として反対するか
視点13 自分の死について、医師にどんな役割を担ってほしいか。またその医師は具体的に決まっているか?
視点14 死期を明確に早める新種の薬が開発された。不治の病に冒されているあなたはどうするか
視点15 治療や延命に関する意思表示の情報を更新していなかった。どうするか
視点16 そして誰もいなくなったら、自然に任せるか
視点17 サルコを買った彼
視点18 お迎えサービス
視点19 価値のある人生なんて決められる? 命の再配分は冒瀆?
視点20 何歳まで生きたいか

おわりに――死のデザインという提案
「小霜君」について――むすびにかえて

 

◇奥真也(おく・しんや)
1962年大阪府生まれ。医療未来学者、医師、医学博士。東京大学医学部医学科卒。英レスター大学経営大学院修了。専門は医療未来学、放射線医学、核医学、医療情報学。東京大学医学部22 世紀医療センター准教授、会津大学教授を経てビジネスの世界へ。著書に『Die革命――医療完成時代の生き方』(大和書房)、『未来の医療年表――10 年後の病気と健康のこと』(講談社現代新書)、『未来の医療で働くあなたへ』(河出書房新社)など。
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